原麻衣子のコラム「ヒトコトワリ」vol.9~チーム内のコミュニケーションを一歩進めて仕事をしやすくする
次第に暖かくなっていく今日この頃。春の気配が訪れてきましたが、春と言えば卒業入学シーズンですね。また、新社会人が入職してくる時期でもあります。
春に限ったことではありませんが、職場に新入職員や他部署から職員が異動してきたとき、「一体、どんな人がくるのだろう」「うまくやっていけるだろうか」と、期待や不安が入り混じったような気持ちになった経験はないでしょうか。ブルース・タックマン(1938-2016)が1965年に提唱したタックマンモデルによると、チームは「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」を経て成長するとされています。形成期とはチームが形成された当初を指し、お互いのことをまだよくわかっていない状態です。人の入れ替わりの多い4月は、まさにこの時期に該当する部署が多いことと思います。
仕事を進めるにあたって、お互いの考え方や価値観を知っていた方がスムーズに進めやすいことは想像に難くありません。例えば、口数が少なく仏頂面の職員が異動してきたとします。その職員のことを何も知らなければ、「機嫌悪いのかな」「何か怒っているのかもしれない」と考えてしまうものです。しかし、その人柄を知っていれば、人見知りで自己表現が苦手だから口数が少ないと理解し、納得することができます。
*****************
その人の価値観や考え方、性格等を予め知るには、いくつかの方法を試してみてはいかがでしょうか。1つ目は、1対1で対話する時間を設けることです。複数人が集まった場だと、どうしても、個々人の発言量に差が出てきてしまいます。そうならないように、メンバー同士が互いにマンツーマンで対話する機会を敢えて設けるのです。
このとき、テーマは特に決めず、お互いの興味関心やこれまでのキャリアなど話していきますが、ぜひ、相手の話について関心を持って聴くように心がけてください。「それってどういうことなのか教えて」「それで、どう感じたの」など深掘りすることで、「この人には、こんな一面があったんだ」「意外と、共通点が多いかもしれない」と感じるなど、その後のコミュニケーションにも役立ちます。
*****************
2つ目が、チームで取り組むことができるワークに挑戦してみることです。ゲーム性を取り入れることで、自然と交流する機会を作ることができますし、組織づくりにも役立つのでオススメです。例えば、マシュマロチャレンジと呼ばれるワークを耳にしたことはあるでしょうか。数人でチームを組み、パスタをマスキングテープやひもで括りながらタワーを立てて、その上にマシュマロを置いて倒れなければOK。タワーを立てるにあたり、いくつか注意点はありますが、どのチームも倒れない場合は、最もタワーが高いチームが優勝というワークになります。
このワークの利点は、「共通の目標に対して、協力しながら取り組むことができること」「目標を達成するため、お互いの強みや役割などを確認しながらチームワークを形成することができること」であり、円滑に仕事をする手助けをしてくれます。
*****************
3つ目が、仕事以外の場でコミュニケーションを取る機会を設けることです。会議を始めるときに、いきなり本題に入るのではなく、雑談から初めて場を盛り上げることはよく行われますね。これは、雑談することでメンバーの近況やお互いの共通点を探り、その後のコミュニケーションやチーム運営に役立つという利点をもたらしてくれます。その他、レクリエーションや懇親会を定期的に開催しているところも多いのではないでしょうか。
仕事とはまた違った一面が垣間見える機会を作ることで親近感がわきやすくなり、相手の本来の姿を知るきっかけになります。それは、やがてより良い関係性を築く一助になってくれることと思います。
■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー
北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。