原麻衣子のコラム「ヒトコトワリ」vol.18 リーダーの第一歩〜覚悟を決めることから始めよう〜
年が明けて、ひと月ほど経ちました。毎年、大きな目標は立てないものの、何となく「こうなったらいいな」と描いている夢ものがたり。年末に振り返ってみると、「やりたかったことができていた」、「思わぬチャレンジやつながりができた」と感じることが増え、少しずつ実現できていることがとても面白いと感じている今日この頃です。
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寒い季節が過ぎると、ようやく春がやってきますね。この時期は、異動や退職に加えて、新入職員が入ってくるので、必然的に人の入れ替わりが多くなります。また、このタイミングでリーダーや主任、管理職になる方もいることでしょう。
役職に就くと、これまでと仕事の内容や質が異なるばかりか、『人をまとめる』『人を育てる』『リーダーシップを発揮する』など、新しく求められることも増えてきます。ただ、内部や外部の研修、上司の支援等を受けて一生懸命取り組んでいるものの、結果を出すことができず「どうしたらよいのだろう」と途方に暮れてしまったり、「自分には向いていないのでは」と思うことはそう珍しくありません。
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先日、とある会社の会議に参加する機会がありました。
社長をはじめとした経営層に加えて、現場をまとめる管理職(仮にAさんとします)が参加していた会議なのですが、議論の中身は行ったり来たりで一向に進みません。結果的に、2時間の予定が倍の4時間かかってしまいました。
それはなぜかというと、「これはどうしますか」「どのように考えていますか」と進行役がAさんに向けて問いかけても、「それは、どうしたらいいんでしょうか・・・」「僕はそう思わないんですよね・・・」と煮え切らない言葉が多く、決めるべき内容が全く決まらないのです。会議後、参加した経営層の方が「今回の会議は、Aさんの覚悟決めだからね」と話されていたのがとても印象的でした。
皆さんも経験があるかと思いますが、「挑戦したい」「合格したい」など大きな決意を持って取り組むときには、それなりの覚悟をするのではないでしょうか。そういう意味でいうと、役職に就くにあたって必要なことを学んだり、上司からの支援やアドバイスを受けたりすることはもちろん大事ですが、「リーダーとして、自分ができることを全力でやろう」という強い信念と覚悟が最も必要なのではないかと考えています。
リーダーとしての覚悟決めに加えて、どのようなリーダーでありたいのかと考えることも大切です。個々人によって異なると思いますが、私は、色々なタイプのリーダーがいてよいと考えています。どうしてもリーダーというと、カリスマ性を持ってメンバーをぐいぐい引っ張るイメージがありますが、そっと手を差し伸べるタイプのリーダーも時には求められます。
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リーダーシップは、次の4つのタイプに分けることができます。
1.高い目標を掲げて、叱咤激励しながら進めるリーダー
2.部下やメンバーの意見を聞きながら、良い意見であれば取り入れながら進めるリーダー
3.信頼関係をもとに、部下やメンバーの考えを尊重してそっと支援するリーダー
4.チームや部署が向かう方向をはっきりと示し、具体的な指示を出すリーダー
これらはメンバーの特性や場面によって、使い分けることが効果的です。例えば、新入職員が入ってきたり、異動した職員がいたりする場合は、まだ仕事に慣れていないため、具体的な指示を出すリーダーが望まれます。
また、ベテラン職員が多い場合は、それぞれが持つ知識や経験の尊重が求められるため、見守りながらそっと支援するタイプのリーダーに徹することが多くなることでしょう。
これらの使い分けは、知らず知らずのうちにされているかと思いますが、チームの状況を鑑みながら必要なリーダーを演じることで、円滑なチーム運営の一助となり得るかもしれません。
■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー
北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。