原麻衣子のコラム「ヒトコトワリ」vol.16~5つの承認を使い分け、スタッフを支援する~
今年も残すところ、あと1ヶ月となりました。ここ最近は、気温がぐっと下がってきて紅葉が見頃になってきたこともあり、つい先日、大阪府箕面市にある勝尾寺まで足を伸ばしてきました。
大阪の中心部から車で30分ほどの歴史ある勝尾寺は、勝運の寺や勝ちダルマの寺として知られています。そんな勝尾寺の境内は、階段や石垣などいたるところで、小さなダルマを見かけるのですが、このダルマ、誰でもどこにでも置いて良いそうです。「えっ、こんなところにどうやって置いたのだろう」と首を傾げたくなるような場所にも置かれているので、興味のある方は是非訪れてみてください。
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さて、皆さんは勝負ごと、得意でしょうか。
ここぞ!というときに実力を発揮できる人もいれば、勝負や本番に弱い・・・という人もいることでしょう。本番に弱く、自信が持てないというスタッフがいた場合、一歩を踏み出せるよう支援するのもリーダーや管理職の仕事だと考えます。
支援する際には、「5つの承認」を使い分けると効果的です。私たちは、自分を肯定されたり、頑張りや成果を認められると嬉しいですし、自信が持てるようになります。所謂、承認欲求が満たされるわけですが、承認は下記の5つに分けることができます。
- 存在の承認
その人の存在そのものに対しての承認です。「Aさんがいてくれて心強い」「いつも笑顔で、職場が明るくなって嬉しい」などです。コミュニケーションや人間関係構築の基礎となる部分になります。
- 過程の承認
目標に向けての取り組みや頑張っている過程を承認します。「この書類を作るために、かなり準備していたね」「異なる意見を反映させるために、工夫をしたんだね」などが当てはまります。
- 成長の承認
成果や結果を追うのではなく、成長していることを承認します。「前回、指摘した部分が直っているね」「患者さんへの説明が、前より丁寧でわかりやすいね」など、改善点や成長点を具体的に伝えます。
- 成果の承認
目標や成果に対する承認です。「Bさんのおかげで、患者さんが喜んでいたよ」「Cさんの提案がきっかけで、経費が削減できたね」などが該当します。
- 可能性の承認
これからの期待値を伝える承認です。「今回は目標の8割だったけど、ここを改善して丁寧に進めれば次回は達成できると思うよ」など、相手の伸びしろについて言及します。
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これらを場面に応じて使い分けることで、相手の自己肯定感やモチベーション向上が期待でき、意欲的に仕事へ取り組むきっかけづくりになります。
そのほか、相手の強みや価値観だけではなく、「どのような場面だと力が発揮できるのか」「過去の成功した経験やうまくいかなかった経験」「好きな仕事や熱中ポイント」を把握しておくと、さらに効果的です。
ムラがなく、常に良い仕事をし続けるためにはスタッフ自身の取り組みもそうですが、周囲の支援も欠かせません。そして、スタッフの前向きで自発的な行動は、より良い職場環境づくりにつながることと思います。
■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー
北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。