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「働く」と「学ぶ」を繰り返す越境学習のススメ

2021.10.16 投稿

今年も残すところ、あと2か月となりました。
この時期になると、「一年を通して、どんなことに取り組めただろうか。」と振り返る機会が多いのですが、私はこの10月からプロボノ活動(「プロボノ」とは、ラテン語の“pro bono publico”(公共善のために)の略)に参加することにしました。

プロボノ活動とは、社会のために自分自身が持つスキルや知識を生かして行うボランティアのことを指します。これまでの職業生活では出会うことがないような社会人とチームを組み、数か月単位でプロジェクトに従事します。

本業でさえ大変なのに、ボランティアとの両立は難しい。そう思われる方もいらっしゃると思います。もちろん、本業に支障が出てしまっては本末転倒なのですが、実は、このような活動を行うことによって本業にも良い影響をもたらせてくれることがあります。

越境学習という言葉をご存知でしょうか。

経済産業省の言葉を借りると、「ビジネスパーソンが所属する組織の枠を越え(“越境”して)学ぶことであり、「知の探索」によるイノベーションや、自己の価値観や想いを再確認する内省の効果が期待されている」とあります。

つまり、日々の職場から離れたところに身を置いて、様々な活動や学びを得ることで成長の機会を促し、新たな価値観を醸成していくのです。

プロボノ活動は、この越境学習の代表的なものの一つだと言えます。

私は、実際に活動を始めてから、これまで出会わなかったような業界や職業の方と知り合うことができました。また、プロジェクトを進める中でお互いの価値観や気持ちをすり合わせするので、多様な価値観に触れることで自ずと視野も広がり、より高い視座で物事を考えられるようになったことは大きな糧となっています。

さらに、チームを一から作り上げることで、チーム作りの変遷を学ぶこともできますし、時にはリーダーシップの経験を積むこともできます。特に、職場ではまだリーダー的な役割を担っていない、リーダーになったばかりという場合は、大いに学ぶところがあるでしょう。

長らく同じ職場にいると、思考は凝り固まってしまうものです。よく、現状維持は衰退しているのと同じだと言われますが、例えば、プロボノ活動にとらわれず、外部の研修や勉強会への参加や新しいコミュニティに属するだけでも、自分自身を客観的に見つめ直し、働くことについて考えるきっかけになるのだと思います。

昨今、大人が生涯を通じて学び続けるリカレント教育の重要性が増しています。「働く」と「学ぶ」を繰り返すこのサイクルにおいて、越境学習はそれを効果的に推し進める一助になるかもしれません。

■執筆:原麻衣子
株式会社エイドドア人事アドバイザー
国家資格キャリアコンサルタント 、アンガーマネジメントファシリテーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

北海道札幌市出身。北海道大学卒。大学卒業後、外資系製薬会社を経て、公的病院で人事労務等を担当。その後、病院、クリニック、介護施設を中心に人事制度や評価制度の導入・運用コンサルティングや研修講師として活動している。現在、産労総合研究所『病院羅針盤』にて連載執筆中。

産労総合研究所『病院羅針盤』